【図解】キングス流!ブリッツの破りかた

さばに

2019年10月22日 09:16

10月19日・20日に行われた琉球ゴールデンキングス×秋田ノーザンハピネッツ戦では、キングスが多用するピック&ロールに対して、秋田はハードショウからダブルチームを仕掛ける「ブリッツ」という守り方をしていました。19日の試合では、秋田の攻撃的なディフェンスに屈して69-87と敗れたキングスでしたが、翌20日はしっかりと対策を打ち78-71でリベンジを果たしました。

20日の試合で特に目を惹いたのは、第1Q 6分50秒、キングスの5選手が連動して鮮やかにブリッツを破った場面です。試合開始直後のこのプレーはチームに勢いを与えましたし、対戦相手には「対策を打ってきたな……」と思わせるに足るインパクトを与えたはずです。

その一連のプレーを図解したいと思います。


オフェンス開始時の陣形はご覧のとおりです。青字がキングス、赤字が秋田です。この日のキングスのスターターはツーガードでした。誰が1番、誰が2番ではなく、両方1番のツーガードです。



#14岸本と#45クーリーがピック&ロールを開始します。秋田#43コールビーはハードショウをして、#14岸本のインサイドアタックを封じます。



秋田#6細谷はスクリーンをファイトオーバーした後に#14岸本をダブルチームします。いわゆる「ブリッツ」ですが、#14岸本はプレッシャーに負けず横へ移動します。圧力に負けて後ろに下がるのではなく、横へ移動してディフェンスを引きつけました。

スクリーンをかけた#45クーリーは、ピック&ポップとかリピックなんてことは考えずに、一目散にインサイドへロールします。

ヘルプサイドの#3並里は、#14岸本からの横パスを受けられる位置へと上がります。



#14岸本のところでは1対2のタイトナンバーになっているものの、それ以外の選手は4対3のアウトナンバーになっています。つまり、劣勢に見えるこの状況が、パス一本通ることで形勢逆転するということです。

そして、#3並里と#45クーリー、ボールマンからのパスコースが2方向確保されています。キングスはツーガードにすることで、ストロングサイドとヘルプサイドのボールの行き来を速くし、アグレッシブな秋田ディフェンスを揺さぶる狙いがあったと思われます。



秋田#17中山は、#3並里への横パスを予測してパスカットを狙います。

しかし、#14岸本は2方向に確保されたパスコースの中から、横パスではなく、よりリングに近い#45クーリーへの縦パスを選択します。

#24田代と#4ブルックスはスペーシングを保つため、あえて動きません。

秋田#51古川と#32カーターは、インサイドでフリーになっている#45クーリーへと収縮せざるを得ません。



ダブルチームされた#45クーリーは、両サイドでフリーになっている2選手のうち#24田代へパスをさばき、3ポイントシュートが決まりました。

#24田代と#4ブルックス、どちらにパスを出してもよかったと思いますが、1stオプションとして#24田代を選択したのは正しいと思います。なぜなら、身長202cmの#4ブルックスがオフェンスリバウンドに参加できるからです(#24田代は188cm)。

ラグビーワールドカップの緊張感もたまりませんが、ほんの数秒の間にこれだけの駆け引きが行われている日本のプロバスケットボールも、やっぱりたまりません!

☆ ☆ ☆

【観戦記】琉球ゴールデンキングス×秋田ノーザンハピネッツ(10/20)

キングス 78(18-15.19-19.23-15.18-22)71 秋田 [BOX]

【スターティング5とマッチアップ】
#14岸本隆一(176cm) - #6細谷将司(173cm)
#0石崎巧(188cm) - #17中山拓哉(182cm)
#24田代直希(188cm) - #51古川孝敏(190cm)
#4デモン・ブルックス(202cm) - #32ハビエル・カーター(203cm)
#45ジャック・クーリー(206cm) - #43カディーム・コールビー(206cm)

【観戦記】
キングスは前日苦戦したブリッツ対策として、上記の内容と、スリップ(スクリーナーがスクリーンを掛ける振りをした後にインサイドへカットする)を用いていました。

また、秋田の1-3-1ゾーンはトップに長身選手、リング下にガードを配置するため、キングスはオフボールのインサイドプレーヤーがリング下へ飛び込み、そこへロブパスを通すことでゾーンアタックをしていました。

秋田のマンツー、ゾーン両方に効果的な手を打ったキングスが前日のリベンジを果たし、ホームを守りました。



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